日本BPDCN研究会 | JSG-BPDCN

BPDCNについて

歴史

1994年にAdachiらによりCD4とCD56が陽性でT細胞性マーカーが陰性の皮膚リンパ腫として報告されたのが端緒と考えられます.かつては,”agranular CD4+ CD56+ hematodermic neoplasms”,”blastic NK-cell lymphoma”など,様々な名称で呼ばれていましたが,形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell, pDC)を正常対照とする腫瘍と考えられるようになり,2008年のWHO分類第4版以降はBPDCNという名称に統一されています.その稀少性などから,疾患概念の成立は比較的最近であるといえます.

臨床的特徴

日本血液学会の血液疾患症例登録によれば,年間10-20例診断されているのみの稀少造血器腫瘍です.男性に多く,小児例も認められるものの主に高齢者にみられます.ほとんどの症例で皮膚病変が認められるのが特徴です.診断時の骨髄浸潤は50-90%でみられますが,末梢血,骨髄浸潤のみで発症する症例は多くありません.リンパ節,脾臓,肝臓等への浸潤もみられます.当初は化学療法に反応するものの再発率は高く,最終的には白血化することが多く,生存期間中央値は10.0-27か月とその予後は不良です.

診断

組織病理標本あるいは新鮮検体を用いて,形態学的評価,免疫染色やフローサイトメトリーによる免疫形質の評価を行い,診断します.典型的には,CD4,CD56が陽性,その他のlineage marker(CD3, CD20, MPOなど)が陰性の腫瘍細胞の増生がみられた場合にBPDCNが疑われます.古典的マーカーであるCD4,CD56以外に,pDC関連マーカー(CD123,BDCA2/CD303,BDCA4,TCL1,TCF4等)の陽性所見を確認します.急性骨髄性白血病や骨髄肉腫との鑑別が特に重要です.BPDCNの腫瘍細胞の細胞形態については,「研究」のページをご覧ください.

遺伝子異常

BPDCNでは解析可能な症例の約60%で染色体異常が認められ,多くは複雑核型を示します.欠失が多くみられ,CDKN2A/CDKN2B,RB1,CDKN1Bなどのがん抑制遺伝子の欠失との関連が示されています.また,TET2の他,ASXL1など,DNAメチル化関連遺伝子,ヒストン修飾関連遺伝子,スプライシング関連遺伝子など,エピジェネティック修飾に関与する遺伝子群の変異が多く認められます.Suzukiらにより,小児例を中心にMYB再構成が報告されています.我々は,がん遺伝子MYCが存在する8q24領域の再構成について報告しました(「研究」のページをご覧ください).

治療

急性白血病レジメン,特に急性リンパ芽球性白血病を対象とするレジメンの有用性が複数の後方視的解析から示唆されています.施行可能な症例では地固めとして造血幹細胞移植が行われ,長期生存例もみられます.ただし,高齢者に多い疾患であるため強力な治療は施行困難であることも多く,実臨床では個々の症例に合わせて治療法が選択されます.

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